転居後4

そろそろ転居後メモではなくただの日記になってきた気がする。

 

友人AB

新環境で知り合った友人Aはかなりお喋りで、単身で万物に立ち向かい突っ込んだりボケたりして交通事故を起こすご機嫌ピーポーでたのしい。常に動き続けているバイタリティーの塊人間で腹式呼吸の王。

かたやBは人から話を引き出すのが上手な名聞き手。気遣い上手で褒め上手。人の目を見て話し気兼ねなく渾名呼びする圧倒的な光タイプで、静と動がかなりハッキリしている。面白い事言う時の声がヒラギノ角ゴシックになる。

かなり愉快な人たちでAB漫才コンビやりな〜と思うくらい昼休憩爆笑させてもらっている。ありがとうございます。

一方私は常に激情か無をかかえている割に出力ボタンが壊れているし、自我を出すのに抵抗があるせいで口数が少ない。かと思いきや突然喋り過ぎるし常にボケしろを探している。

違った部分が各々変な3人組にも共通点があって、笑い上戸で声がデカい。

 

漫画

実家に置き去りにしていたベルセルクヘルシングが輸送されてきた。今手元にある長編漫画はベルセルクヘルシングとグルグルとはぐちさんで、かなり今の私を構成している作品と言っても過言ではない。あとネウロかな。うそ、ハチワンダイバーテニプリも必要。

つまりかなり過言だった。

段ボールから中身を取り出してヘルシングを本棚(厳密に棚ではなく本を置く仮スペース)に運ぶつもりが、いつのまにか黙々と読んでしまった。おもしれ。かっこよすぎる。

読むたびに激情で踊りたくなっちゃう。好きなシーンとかあります?って聞かれたら困っちゃう。10巻全部好きだって言ったらファンの人に殴られちゃうかもしれない。

戦争は嫌いだし無ければ無い方がいいにきまっていると思っているけど、漫画の中の暴力はかなり好きな方なんだと思う。作品の中の暴力って感情のぶつかり合いだから。

 

散髪

人に身体を触られるのが苦手かつ、人と密着するのが苦手なので美容室に行くのは毎度気持ちを作る工程が必要になる。

愛知で通っていた安価で予約不要の美容室は東京に数店舗しかないタイプのチェーン店だったので、新規開拓の必要を迫られている。あの店のかなり良い所は、閉める間際は必ず空いていて目を閉じていると話しかけてこない所だった。

どうやら1000円カットのお店はそこらじゅうにあるみたいだけど、いつ覗いても混んでいる。そりゃそうか、忘れてたけどそういえば都会に越してきたんだったわ。

 

駅の隣のビル

土地をノビノビ使って作ったビッグショッピングモールが好きなんだけど、こっちに来てから1度も行っていない。東京にもEオンはあるらしいので今度行ってみたいな。でも地方のEオンとは空気感が違うんだろうな。当たり前か。

その日はEオンではなく、映画を見に行く用事ができて使わない路線で行った事のない駅に行った。毎駅新鮮で面白いけど、JR人多いな。名鉄とかないの?そういえばここはナゴヤじゃなかった。

適当に駅の近くのビルに入って高い服を横目で見たり(入る勇気はない)ユニクロで靴下を検討したりピアスを物色しているうちに迷子になった。ここはどこ。私は。

 

散髪後

Qビーハウスに行った。安いし散髪中話しかけてこないし。

 

オシャレ

先述の褒め魔友人Bが定期的におしゃれだねぇ〜と褒めてくれるんですが、それはとってもありがとうございますなんですが私は全然おしゃれとは言えなくて毎回そんなそんなと首を振ってしまう。

上京後の服の取捨選択は武装前提で、完全に舐められたくなさで服を選んでいる。

おしゃれを全然楽しめていないので、私がおしゃれだねと言われて肯定するのはおこがましすぎると思ってしまう。全国のオシャレ好きに失礼。卑屈すぎるとお思いですか?卑屈をある程度世間にチャンネル合わせて私は今ココに立っているつもりなので本気を出せばこんなものではない。嫌なパワーリスト。

これ〜かわいい〜着たい〜と思って服を買う機会はかなり減った。舐められたくないので必死で自分に外れていない舐められないような服を選んでいる。顔が弱いので派手なシャツ。身体がオオタチなのでメリハリをつける。身体がどっこも出ていないので隙間に挟まるのが得意。姉は「優希をマッチ棒と呼んだらマッチ棒に失礼だ」という名言をのこしている。

そんな私のいちばんお気に入りの服は大須の古着屋で出会ったフェンシング総柄のシャツ。宝物。

 

商店街

トウキョーは近くに商店街がある駅が多い。これは全然知らなかった情報。商店街を見かけると嬉しくなって時間があればつい寄ってしまうし、なくても今度来よ〜と思う。

愛知の商店街といえば大須とか名古屋の地下迷宮を真っ先に思い浮かべる。地方の商店街もいくつか行ったことがあるけど、都会の商店街に馴染みがなかったので(大須は都会というよりも大須すぎる)ひしめく人にまじって不思議な気持ちで散歩させていただいている。

 

シモキタ

夜の下北沢は怖い。ライブの観劇目的で下北沢へ向かった。改札を出るとすっかり辺りが暗くなっているのに若者が駅の周りに居て怖い。

私はまだ東京の事を全然知らないし、あまり知りたがってもいないので「夜だろうが駅周辺に多数の若者がたむろしている」だけで「怖い街」と断定するのは横暴だと思う。もっと良い所を知るべき。でも怖いものは怖い。

駅付近だけでも古着屋さんがたくさんあり、寄ってみたいのだけどオシャレな若者がたくさんいるだけで足が遠のいてしまう。弱い。猫背でガリガリで弱くて愚か。お店に入れないにしろ心は強くありたいと思い立ち、イヤホンで爆音のバズマザーズを聴き、大股で歩いて、会場に着いて、今度はお昼に来てみよう、と思いながら階段を登った。

 

帰路

お笑いのライブを見た後はかなりご機嫌になる。ご機嫌を具体的に言いかえると、踊りたくなる!になる。

この日もとても笑って相当ワクワクさせていただいて、うれしくってたのしくって、ありがとうございましたの拍手を終えたら、余韻もなく真顔を作って、踊り出しもせず、沢山の若者に一瞥もくれず限りなく自分が叩き出せる最高ラインの競歩の速度で駅まで歩いて、窓にうつった自分の顔を見ながら爆音でハヌマーンを聴いて、乗り換えミスって家から遠ざかった時に初めて「嘘の武装」が綻んで、慌てて電車を降りて目の前にある壁に向かって笑った。

なんとなくそうしたかったので、最寄り駅から全力で走って家まで向かった時、不審者彗星というワードが頭の中で点滅していた。

不審者はかなりの悪口なのに彗星がつくと、そこまで大したものではありませんよ!と謙遜したくなるよね。とちいこい私が、わざと不審者彗星とズレたタイミングで明滅させていた。